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【実施報告】博士が3年で即戦力になるために必要なトレーニングとは?

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6/24(土)に日本科学未来館で行われたキャリアディスカバリーフォーラムの中で、パネルディスカッション博士が3年で即戦力になる〜リバネスのポスドク採用プロジェクト〜が行われました。

本イベントの主催者である株式会社リバネスでは、多くの博士人材が、博士課程に在籍しながら、また博士課程取得後に、「自らの研究を専門外の人に伝える」企画を子どもたちに届けることを中心に、社会経験を積んで研究を活かした生き方を歩むためのトレーニングを行っています。1991年に「大学院生倍増計画」、1996年に「ポストドクター等1万支援人計画」が生まれてから、輩出数が増えてきたものの、進路の多様性や受け入れ先が少ない、という「ポスドク問題」が同時に浮上してきました。本セッションで紹介するトレーニングが、ポスドク問題の解決に繋がるのではないか。という期待のもと、リバネスのインターンや入社を経て、海外や様々な場所で活躍する博士人材と、代表取締役CEOの丸が、リバネスでのトレーニング経験や「博士人材があらゆる場所で活躍する方法」について議論しました。

リバネスを経て、多様な場所で活躍する

 登壇者は、博士課程時代、またはポスドク時代にリバネスのインターンシップや入社を経て、社内外に自分の道を定めた3人です。リバネスでは大学院に通いながら、週末に、実験教室や雑誌制作などのプロジェクトラーニングを経験し、自分の専門をわかりやすく伝えるスキルやマインドを育てる、「サイエンスブリッジリーダー講座」をインターンシップの一環で開講しており、3人とも、その講座の出身者です。京都大学大学院出身の松原恵子さんは現在、MSD株式会社で、薬を使用する医師と科学的エビデンスをもとに安全性や適正使用等について議論を行うことで医師の医療活動の支援を行いながら、その議論の中で得た医師の考えを、ビジネスサイドや開発に還元するメディカルサイエンスリエゾンという役割で仕事をしています。博士課程在籍中からポスドク時代にかけてリバネスでインターンを経験し、入社後1年半で今の仕事につきました。理化学研究所の永田健一さんは同じく博士課程在籍中からインターンを経験し、大学のポスドクインターンシップ制度を利用して3ヶ月間入社後、研究者の道に進むことを決めました。株式会社リバネス国際開発事業部部長の前田は、アメリカで博士号を取得後、日本に帰国、リバネスで1年間研究員として働いたあと、正式に入社し、国際開発事業部の立ち上げに貢献しています。

 

研究と社会との接点を模索した結果たどり着いた場所

それぞれに研究が大好きだった3人ですが、研究室の活動にとどまらず、リバネスでこの講座を受講したモチベーションは何だったのでしょうか。タンパク質分解酵素「ダイン」について研究してきた永田さんは、「研究は人と違うことをやっている、という実感で充実していたが、社会人になることを考えた際に、この研究は誰かの役にたつのだろうか、役に立たないことをこのまま続けて良いのだろうかという疑問が生まれた」と言います。前田は29歳でアメリカで心理学を専門とした博士号を取得して日本での就職先を探していた時、エージェントからはっきりと「女性で30歳になると正社員の就職先が本当になくなる。最後のチャンスだ」と言われたそうです。自分の経験を活かせるような場所はなかなか見つからず、リバネスにたどり着きました。松原さんは、就職を考えたときに、「研究がベストな選択肢なのだろうか?」という疑問が生まれたと言います。もっといろんなことを知りたい、と考えている最中、リバネス関係者の知人ができたことをきっかけにインターンを始めることになりました。

子供に話すことで自分の道が明確になる

リバネスでの実験教室での活動は自分の専門や研究の魅力を、自分がなぜこの研究をしているのか、なにを目指しているのかを一緒に実験を経験することを通じて伝えていく、というもの。プレゼンテーションのスキルとともに、自分が何者であるか、何を目指していく人なのか、ということが子供の前で明確になり、研究の本質や研究者の生き方について深く考えるきっかけになります。自分は話すことが苦手だった、という永田さんは実験教室で「こんなに面白いことがなぜ伝わらないのか?」という衝撃を受けました。「自分の視点は非常に狭い」ということを痛感し、チームメンバーとの議論を通じて、伝わる形を模索した結果、自分の研究の面白さを再認識し、自信を持って研究の道に進むことを決められたと言います。松原さんは上記の活動を通して、「研究をしてきたときに抱いていた「がん」の研究に貢献できる人になりたい」というビジョンをさらに深め、がん治療薬の開発に関わる仕事をすることにしました。前田は自身の留学の経験や、研究の経験から、もっと広い世界と学生を繋ぎたい、という思いをもつに至りました。

研究者は人と違う道を歩める、違う発想ができる、という点に大きな価値があります。そこに、社会との接点を認識し、コミュニケーションの技術が加わわった人は、どんな場所でも活躍できる、という実感ができるお話でした。自分の研究の価値を明確にすること、自分の生き方を明確にすることこそ、自分のキャリアを決める最大の武器です。リバネスのインターンシップ、サイエンスブリッジリーダー育成講座はそんな議論ができる場所、自分を鍛えられる場所です。このような仕組みがもっと日本に増やしていきたい、と改めて感じるプログラムでした。

<キャリアディスカバリーフォーラム>
 6月24日(土)10:00〜18:00 
 場所:日本科学未来館 https://cdf.lne.st/
 ■パネルデイスカッション
 博士が3年で即戦力になる〜リバネスのポスドク採用プロジェクト〜 

登壇者:
理化学研究所 脳科学総合研究センター 研究員  永田健一  博士(医学)
株式会社リバネス 国際開発事業部 部長 前田里美 Ph.D.
MSD株式会社 オンコロジーメディカルアフェアーズ 
メディカルサイエンスリエゾン  松原恵子 博士(医科学)

ファシリテーター:株式会社リバネス 代表取締役 CEO 丸幸弘 博士(農学)

「サイエンスブリッジリーダー育成講座」https://lne.st/sbl/

「インターンシップ」https://lne.st/recruit/internship/

 

お問い合わせ:[email protected](担当齋藤)

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