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異なる人との交流が、自分の活躍できる場に気づくきっかけとなった(東京大学大学院博士課程)

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異なる人との交流が、自分の活躍できる場に気づくきっかけとなった

渡邉 聡 氏 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系 博士課程 3 年

東京大学の渡邉聡氏は、幼少の頃から算数や数学に興味を持ち、現在は大学院博士課程で、絶縁体中の原子の運動などの自然現象を正確に記述する理論の構築に取り組んでいる。大学で研究を続けることを目指して突き進んできた彼が、キャリアディスカバリーフォーラム (CDF) で企業との交流を求めたのはなぜだったのだろうか。現役博士学生の想いに迫った。

●参加の決め手は、研究を続けたい想い

「いつもこのくらいは持ち歩いています」と見せてくれたのは、30 部はあろうかという論文の束。数理研究では、膨大な量の論文を読み込んでこれまでの理論を学び、その中からまだ誰も取り組んでいないテーマを見つけることが重要だ。渡邉さんはそこに研究の面白さを感じている。「常に新しいことに触れられる毎日にとてもわくわくします」と話す。一方でキャリアについての不安もあった。「この分野に限らず、アカデミックポストは限られています。研究は続けていきたいけれど、無給の研究員として働く人もいる中で、自分はどうすべきなのかを考えるようになりました」。そんな折にキャリアディスカバリーフォーラムの存在を知ったという。「企業でも、自分の研究が続けられないかを知りたい」と参加を決めた。

●一歩踏み出し、研究者としての可能性を発見した

参加前の心情について「実はとても不安がありました」と語る渡邉氏。CDF では企業ブースで参加者からも自己紹介をする機会があった。異分野の、しかも企業の研究者に自身の研究内容を話す機会はこれまで少なく、伝わるかどうかが心配だったという。しかし、すぐに杞憂だと気づいた。医療、バイオ、ものづくり、様々な分野の企業研究者が自身の研究に興味を持ってディスカッションに応じてくれたのだ。数学や物理系の研究者の多くが金融系企業に就職する中で、それ以外の分野の企業も興味を示してくれることは発見だった。さらに、「研究内容だけでなく、論文を大量に読んでいることや、計算能力にも関心を持ってくれたのは意外でした」というように、研究経験そのものという自分の新たな価値に気づくことができた。

●自分の軸に気づけば、活躍の場は広がる

渡邉氏に、特に印象に残った企業はどこだったかと聞くと、バイオインフォマティクスの企業を挙げた。その理由をこう語る。「医療やバイオの分野はまだまだ分かっていないことも多い。ここなら、新しいことに常に出会い、わくわくした気持ちを持ち続けられるんじゃないかと思ったんです」。もともとは数学や物理の研究をしたいと考えていたが、研究を続ける根幹にある「新しいことに取り組み続けたい」という想いに応えられる場所であれば、分野は問わない、ということに改めて気づけたのだ。博士号取得後は、ポスドクとして大学に残るが、その後については、大学・企業を問わず考えていきたいという。
「企業でも自分の研究を続けられるのか?」という問いを持って臨んだ渡邉氏は、世の中に取り組むべきテーマは無数にあること、そして企業の中にいるからこそ出会えるテーマがあるという可能性に気づけたのではないだろうか。CDF は、彼のような研究者にとって、研究者としての自分を拡張できる場となったのだ。(文・鷲見 卓也)

プロフィール
2008 年に東京大学教養学部理科 2 類入学。理学部数学科に進み、その後京都大学理学研究科数学数理解析専攻に進学した。修士号取得後の 2015 年より東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系の博士後期課程に所属している。専門分野は数理物理学。

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