ホーム incube 研究者だからできるビジネスがある。 研究者だから起こせる革新がある。:エルピクセル株式会社

研究者だからできるビジネスがある。 研究者だから起こせる革新がある。:エルピクセル株式会社

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「研究の世界から革新とワクワクを!」とミッションを掲げ、研究の現場から研究の仕方そのものを変えることを目指すエルピクセル株式会社。「技術の発展がサイエンスを発展させる」と語る島原佑基代表取締役に共感し、2016年4月からエンジニアとしてエルピクセルで働きながら、大学でポスドクも続ける菅原皓さん。研究現場を知る研究者だからこそできるサイエンスの発展のさせ方があるという。

真理の探求にワクワクし続ける研究者であり続ける

島原 社名であるエルピクセル(LPixel) の「L」はLife Science、Laboratoryなど を、「Pixel」は画像の最小単位、画素を指 しています。ライフサイエンス領域の画像 解析をする会社なのでわかりやすいですよ ね。21世紀はライフサイエンスの時代だ と思っていて、いわば「生物をつくる」時 代に入りました。生き物とはなんなのか、 病気とはなんなのか。エルピクセルはライ フサイエンス×ITの時代を切り開くことを 目指しています。

菅原 僕は博士課程のとき、画像解析ソフ トを使って細胞中のmRNA分子の蛍光イ メージングをしていたのですが、もっと画 像解析の踏み込んだ勉強がしたいと思って いました。その頃、学内にエルピクセルと いう会社があることを知り、研究の一貫と して島原さんにコンタクトを取ったのがきっかけでした。

島原 「すぐ会いましょう」と即答して、 同じ東京大学のキャンパス内にある会社に 来てもらいました。全然会社っぽくなかっ たですよね?

菅原 そうですね。研究室の雰囲気に近い 感覚がしました。

島原 もともと同じ研究室のメンバー3名 で立ち上げた会社で、研究者マインドを大 切にしているんです。人からの指示を待つ のではなく、自分でやりたいテーマを選ん で自主的に動く。「自由・自立・自主」の 雰囲気を大切にしつつ、真理を探求するこ とにワクワクする、純粋な知的好奇心を優 先する文化づくりを目指しています。

菅原 初めてエルピクセルと出会った時か ら社員数も倍以上になって、オフィスも広 くなりましたけど、メンバー全員が研究者 であり続けることは変わっていませんね。

研究もビジネスも。
やりたいことは両方やる。

菅原 エルピクセルへの入社を決めた理由 は、自分自身の研究を続けたいという思い と、エンジニアとしてソフトウェアを開発 することで研究領域全体の発展に寄与した いという思いを両方実現できると思ったか らです。昨年の3月に博士課程を修了した 後、4月からは平日の週数日は大学でポス ドクとして研究を行い、大学の勤務時間外 にエルピクセルのエンジニアとして働いて います。

島原 社内では研究と両立して働いている メンバーが複数在籍しています。実は、私 自身も週末は博士課程の学生をしていま す。研究現場に立ちながら、エルピクセル で研究者向けのサービスの開発をする。こ の両立はとてもいい相乗効果を生んでいる と思っています。ユーザーの現場の感覚を そのままサービスに反映できるのですか ら。自分が使いたいと思うものしか作りま せん。

菅原 ポスドクとベンチャー企業で働くこ との両立ができるのか、確かに少しは不安 はありましたが、1年間やってみて、両立 できていると感じます。周りの人を見る と、博士課程を出た後は製薬企業の研究職 か、アカデミアの道一本という人が大半 だったので、周りからは「そういう選択肢 もあるんだ」と不思議そうな目で見られま した。

島原 ベンチャーで働くことに不安はな かったですか?

菅原 ベンチャーだからという考えはな かったですね。研究現場で自分の研究を発 展させながら、ビジネスとして研究領域の 発展に寄与する。どちらかを選ぶのではな く、どっちもやる。その考え方が受け入れ られ、かつプラスな効果を生み出せるのは ベンチャーならではかもしれません。

イノベーションの根幹である科学を技術の力で加速する

島原 菅原さんとはクラウドベースの画像 解析ソフトウェア「IMACEL」の開発を、 アイデア出し、プロトタイピングからサー ビス化までずっと一緒にやっています。新 しいことをすぐに実装してしまうスキルと 行動力に驚かされました。

菅原 既存の画像解析ソフトの課題は、機能がたくさんありすぎて、ソフトに不慣れ な生物研究者にはハードルが高すぎるこ と。たとえば、これまで細胞数のカウント は、人力で行うか、調整が難しい画像解析 ソフトを用いなければなりませんでした。 たくさんあるメニューの中から適切なもの を選択した上でパラメータを最適化し、さ らに適切な順番で処理を組み合わせていか なければならない。IMACELでは直感的に パラメータを数値で1つ1つ設定すること なく視覚的に画像解析を進めることができ ます。いったん解析方法を作成した後は、 同一条件で一度に大量の枚数の画像解析を することも可能です。今後は機械学習を活 用することで、画像をアップロードするだ けでその画像が何かを認識し、解析目的も 自動で判断して解析結果が得られるように していきたいです。

島原 研究者がデータの解析に時間を取ら れて本来やりたいことができない、考えら れないのはもったいない。今までヒトが やっていたことを人工知能に任せて、その 間に研究者が本質的に頭を使わなければな らないことに時間を割けるようにする。そ れがIMACELのコンセプトです。 菅原 研究の魅力は、世界中でまだ誰も知 らない現象を自分だけが知ることができる こと。ワクワクしますよね。エルピクセル の仕事を通じて、1人でも多くの研究者が 新しい発見をする現場を増やし、社会の発 展をサポートできれば嬉しいです。

島原 イノベーションの根幹はサイエンス だと信じています。そして、サイエンスの 発展が科学の発展を加速させる。だからこ そ、技術が必要なところには適切な技術を 提供していきたいと思っています。せっか く会社を作っているのだから、1人の研究 者ではできないけれど、チームとして、研 究で世の中に革新を与えられる集団を目指 していきたいと思います。 (取材・構成 上野 裕子)

島原 佑基さん(代表取締役) プロフィール
東京大学大学院修士(生命科学)。研究テーマは人工光合成、のち に細胞小器官の画像解析とシミュレーション。IT 企業で事業戦略本 部、のちに人事戦略部門に従事。他IT企業では海外事業開発部にて 欧米・アジアの各社との業務提携契約等を担当。2014年3月にエ ルピクセル株式会社を設立した。

菅原 皓さん(研究開発本部メディカルエンジニア) プロフィール
東京大学大学院博士(薬学)。薬剤師。一分子蛍光顕微鏡法を用いた細 胞内mRNAのナノスケール局在・運動解析に従事。東京大学ライフイ ノベーション・リーディング大学院および東京大学医療イノベーション イニシアティブ修了。東京大学特任研究員。

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